読みものヽ(´∀`)

(7)『母の想い出』Dの中

 安武恩師の厚き御取次により、この兄もそのまま骨折した足に御神米をはらせていただき、包帯をして一ヶ月ほど床に就いたが、今日は一歩、翌日は三歩と、日ましに回復し全快のおかげを蒙らせていただいた。兄は自分が歩けるようになったのがよほど嬉しかったのであろう。幼児にもかかわらず一生懸命小さな手で藁縄をなって、丸いつぐり(毛糸をまるく巻くように藁縄をまゆ形にしたもの)にし、教会御建築にお供えさせていただいたところ、安武恩師はたいそう喜んでくださったとのことである。
 兄のことで今ひとつおかげを蒙らせていただいたことがある。兄は生まれながらに額に、当時の一銭銅貨くらいの「ホグロ」があった。母はそのことがふびんに思えてならず、ある日安武恩師に、
 「一雄が今は小さいから何とも思っておりませんが、小学校へ上がるようになりますと、人から笑われたりして恥ずかしい思いをすることがございましょう。何とぞ、できることでございますなら、あのホグロを取っていただくことはできませんでしょうか」と、思いつめた面持ちで御取次を願った。
 それをお聞きになった恩師は、
 「親神様は、この身体のお造り主で、いわば製造元であらせられる。何もないところから、こんな切れば血の出る肉体をお恵みくださったのだから、ホグロの一つや二つ取って下さることに、造作はなかろう。しかし、取ってしまっていただいたのでは、一雄さんが成長して、あんたは小さいときにホグロが額にあったのを神様にお願いして取っていただいたんだよと言っても、そんな馬鹿なことがあるもんかと言って信用すまい。そこで、神様にお願い申し上げて、後で証拠になるように、そのホグロが他のところへ宿替えするようにお願い申し上げよう」と仰せられ、お願いしてくださったが、それから数ヶ月たつうちに、額のホグロがだんだん薄くなって、後には、きれいに拭ったように無くなった。「ああおかげ頂いた」と思っていると、今度は右の首筋の、ちょうど着物の襟で隠れるところにホグロができた。
 このことについて、このようなことがあったと母が語っていたのは、その兄のホグロが宿替えさせていただいたという噂が広がっておったので、約三粁ほど離れた一里塚というところに、姉川氏という竹細工を業としている人がいたが、父が養蚕に使う竹籠を注文していたのを、でき上がって弟子の人が届けに来てくれた。うっかりして名前を聞くのを忘れて困ったが、     「ホグロが宿替えした家」を思い出して、
 「もしもし、この辺でホグロが宿替えした家はどこでしょうか」と、ちょうど家の前で尋ねたので、
 「はいはい、ここですよ」と、受け取ったとのことである。
 右は当時、安武恩師の御取次によって蒙らせていただいたおかげの一例でありますが、財の余裕もなかった暮らしの中で、「神様、親先生」とただ一心におすがりさせていただいき、かくみかげを頂いたのであり、まことに勿体ないことであります。
(続きへ)

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