読みものヽ(´∀`)

(11)『母の想い出』Eの下

 じっと聞いていた母は、涙ながらに、
 「私が間違っておりました。どうぞお願い申し上げます。」とひたすらお詫び申し上げるのであった。まさに劇的光景であったと想像されるのである。
 恩師はご神前に進まれて、
 「ただ今氏子が死の覚悟をもって一心に縋っております。どうぞ願いをかなえてくださいますよう。今日までのお礼とお詫びの足らざることを自覚して、心からのお礼お詫びを申し上げ、生命は神様におまかせして、一心にお縋りいたしますれば、なにとぞ身体を調えてくだされ、悪血悪毒は大小便で下にお取り払いくだされまするよう………」と、御祈念をこらして下さった。
 かくて、この安武恩師に、今生の別れにお参りさせていただき、恩師からいとも厳しく、しかも条理を尽くされての、み教えを頂いて、母の信心は大きく展開させていただいたのである。
 それは、「振り返ってみると、今日までの信心は、ただ一身一家の上におかげ蒙らせていただきたいとの一心からのものであった。いわば自己中心で、親神様の御立場というようなことはいささかも考えていなかった。これは申し訳ない相済まないことであった。これからは、今日死んだと思って、少しでも親神様に喜んでいただくような自分になしていただこう。神様に喜んでいただくということは、まず御取次くださる親先生に喜んでいただくことである」と、心に強く誓わせていただいたのである。
 帰りも行きと同様、抱えられるようにして連れて帰られた母は、そのまま床に伏して一時は重態に陥り、いよいよ危篤状態となった。
 母から導かれた同信の人々も、見舞いに来られては、
 「あなたがおかげを頂かれねば、初信の人々の信心に動揺をきたすから、どうでもこうでもおかげを頂いてください」と、枕辺で力づけるのであった。
 ところが数日過ぎた頃から、母の容態が次第に快方に向かわせていただき、一枚一枚薄紙をはいでいくように、日に日に腫れが引いていき、かくて、七月二十六日恩師にお暇乞いに参拝させていただいた日から六十九日後の十月三日、病気全快の御礼参拝をさせていただくことができた。
 恩師は心から喜んでくださり、ご神前に厚く御礼申し上げてくださったが、再生のおかげを蒙らせていただいた母の心境は、いかばかりであったかと推察されるのである。
 安武恩師の厚き御取次、み祈りによって、母は命の接穂をしていただいたのである。当然のことながら、母は病後なんとなく身体の不調を感じたので、そのことを恩師に御取次頂くと、
 「もう一人氏子をお恵み頂いたら、体の調子もよくなしていただくだろうから、もう一人お恵み頂くようお願いさせていただくから」と仰せになってお願い申し上げてくださったが、その月に妊娠させていただき、翌年(大正五年)十月二十八日、次男政美が出生させていただいたとのことである。
 その折、母がおかげを蒙っていなかったら、私はこの世に生ましめられることができなかったと思う時、奇びなる神幸と、恩師の御取次、母の信心のほどが有り難く思えるのである。
 母の生前はもちろん、死後今日に至るまで、毎年七月二十六日には特別改まった気持ちで、御礼参拝を続けさせていただいている。
(続きへ)

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