頂き物小説
心境

あんたは昔からそうだったんだ。



  心境



ずるい、と思うのが人の性と言うものだ。
少しばかり自分より年上で、少しばかり自分より強くて。
少しばかり自分より身長がでかくて。
その副長という位置だって、少しばかりの差なのだ。
必ずしもあんたが座らないと成り立たないなんてことは決してないんだ。

ほんの少しの差が、俺は恨めしかった。


「おーい、沖田くん?今はお仕事の時間なんだけどなぁ?」

にこやかに(黒い笑みで)声をかけてきた土方に対して、
沖田はアイマスクをはずしながらいつもの台詞を吐き出す。

「なんだい母ちゃん、今日は日曜「その台詞はもう聴き飽きたっ!!」
「そうですかぃ?じゃぁ次はなんて言いましょうかねぃ」
「ふざけてねぇで仕事しろ仕事!!!」
「何言ってるんですかぃ土方さん。山崎なんかミントンやってますぜぃ」

沖田は言いながらラケットをおもむろに振り回している山崎を指差す。
次の瞬間、土方のターゲットは変更された。

「山崎ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
「うぉわっ!!み…見逃してくださっ…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」

土方は物凄い勢いで山崎の所へ走り去り、
そのまま山崎に襲い掛かった。
その後はとても見るに堪えないような悲惨な光景が目に映った。

そんな光景を見ていつも思う。
なんでこんな単純バカが副長なのか。
なんで自分が近藤さんの隣にいないのか。

たった少しの”差”なだけなのに。

――――俺ぁ、あんたが嫌いだ。


暫らくして山崎を苛めることに飽きたのか、
山崎を見るに絶えない姿にしたまま放置して土方は戻ってきた。

「お前もちゃんと仕事しろっつーんだよ!!」

ブツブツと文句を言いながら人の隣に座り込んできた奴のことを無意識だが睨んだ。
物凄く今はあんたと一緒になんか居たくない気分だ。

「おいっ、んだぁ?その目は。やるか?」
「おっ、いいですねぃ。コレで副長は俺のものだ!!」
「まだ俺が負けるなんて決まってねぇだろーが!!」

怒鳴りながら抜刀する。

次の瞬間土方は真っ先に突っ込んでくる。
それを容易く避ける。
避ける瞬間に土方めがけて刀を振る。
それを土方はギリギリのところで自分の刀で防ぐ。
キーン、と金属のぶつかり合う音があたりに響く。

お互い向き合った状態になる。
少しでも力をぬけば負けは確定だ。

俺は土方と睨みあう状態になる。


―――――あんたは、こんな小さなことにまで。

「土方さん、一つ訊きたいことがあるんでぃ」
「真剣勝負中だぞ!?……なんだよ」
「あんたは副長を譲る気はねぇんだなぁ?」
「あったりまえに決まってんだろ!!?」

当たり前の答えが返ってきた。

「じゃぁ、あんたは局長になりたいと思うかぃ?」

局長になるということは、近藤さんがやめると言うことだ。
もしくは近藤さんが死んだ場合。
これの答えによっては本気で斬ろうと思った。

「バッカじゃねぇの?俺は近藤さんだから下についてんだ。
俺が局長になってどうすんだよっっ」
「―――――そうかぃ」

ぐっと力を入れた。
土方は突然入ってきた力に押され、刀が舞う。
勢いで沖田の刀も空中を舞う。

「あ〜ぁ、引き分けみたいでさぁ」
「……お前今わざとじゃ「良かったですねぃ。まだ副局長のままですぜ」

嫌味たらしい笑顔をぶつけてやる。
そのまま俺は自分の刀を拾い上げて鞘に収める。


あんたが野心家じゃなくて良かったと思う。
あんたほどのキレ者が野心家だったらとっくに局長になっていただろう。

たった少しの差だけれど。
たった少しの違いだけど。

今はあんたが一番適任なんだと思った。

そんなあんたをみて思った。

―――――俺ぁ、あんたが嫌いじゃねぇかもしれない。



end



うぉわっ!?何事だ!?
って感じの文になってしまった…。

CPがおかしい。土沖じゃないよですよね。
スンマセン……。糖分は多くできなかったです。泣

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