小説置き場 ■□1□■

先輩、【さゆみ】




着心地の悪い制服のボタンをはずし、
両腕をフェンスに預けた。今日で俺の
上に立つ者はいなくなる。とても嬉し
いことのはずなのに、この荒れ狂う感
情は何だろう。何でこんなに、苦しい
のだろう。


「……ホンマ、うざいわ…」

「誰がやねん、財前」



聞きなれた、声。



「……暇なんスね、謙也さん」



でもそれは



「アホ、お前と一緒にすなや」




4日前に、消えた。




「卒業式やねんな、今日」

「ッスね」

「俺も出たかったねんけどな」

「は、よく言いますわ。寝てるくせに」

「式自体をサボるお前よりはええと思うで」




その笑顔はまるで水彩画で描いたよう
に透き通っていて、もう、そこには、
あの頃の謙也さんはいなくて、




「………うっさい、ッスわ」




虚しさだけが、胸を締め付けた。




「ほな、もう行くわ」

「……部長達のとこには、」

「ん、考えたんやけどな、行かへんこ
とにした」




謙也さんは、上を見上げて言った。




「…お前が変わってなくて、よかったわ」



謙也さんの足が、


謙也さんの手が、


謙也さんの、笑顔が、



消えていく。




「謙也、……さん」

「ん、?」

「…そっちで、退屈してませんか」

「まだ、テニスしてんで」

「そ、ッスか」

「おん、」

「………謙也さん、」




消えていく体は、きらきらと崩れる。




「卒業、おめでとう……ございます」




謙也さんの声と共に流れ出たのは、

荒れ狂う、感情だった。





*****************

こんにちわ、さゆみです。
一応謙也の死ネタでした。

卒業式の日に財前に別れを伝えにきた
謙也っていう設定で…

なんかもうぐだぐだッスね。
ため息しかでないや…(>_<)



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