小説置き場 ■□1□■

屍の上に立ったうさぎは 【さゆみ】









幼いときからそうだった。


他人と行動を共にすること
を嫌い、群れることを嫌っ
ていた。自分の意見と噛み
合わない輩はざくざくと自
分から切り裂いて、突き放
してきた。誰かの隣で笑っ
たり、口喧嘩をしたり、周
りの輩がするようなことは
一切しなかった。




それが、性格でもあった。




周りの輩は我の身分を知り
歯向かおうとはしなかった
。でも、我の知らない影の
ところで愚痴を溢していた
ことは、知っている。死を
恐れる輩はそれを直接言う
ことはしない。なんと愚か
な生き物かと何度思ったか
。結局、弱者は上に逆らう
ことなどできない。愚民は
愚民のまま、その醜い一生
を終えるのだ。


でも


この女は違った。


どこまでも我に歯向かい、
我を恐れることはなかった
。我を、





比べることは、しなかった





「元就、様…」





焦点の合わない目で、女は
言った。死が見えていても
おかしくない状況で、女は
笑っていた。






「…元、就様…は、人様が
嫌いなのでは、ありませ、
ん……」


「……何を…」


「怖、かった…のです、」






“自分が、認められないことが”




女はそう言った。




「貴方様は、寂しかったの
です……、ひとりの、孤独
な、貴方様、が…」








………我が、寂しかった…?












「気にいらない、隊士を、
冷酷に…切り捨てるのも、
決して本当の自分を、見せ
ないのも、……全部、全部



裏切られるのが、離れて行
くのが、怖かった、のでし
ょう…?」










…………違う、










「元就様、」









……………違、う










「私は、ずっと、
貴方様のお側に、います」











……………違う、…?










「私は、貴方様を、……
元就様、を………



お慕いして、おります、」

















違う、はずなのに。
寂しいなんて、我には無縁だと
思っていたの、に。


動かない女を見て、
温度が奪われていく体に触れて、
芽生えた感情は、
涙になって流れた。










――――――我から、







―――離れて、いかないで、くれ












我も所詮、
愚民と同じ、

愚かなうさぎに過ぎなかった。










*******************


元就様が冷酷な理由が
寂しかったからだったらいいなあ





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