小説置き場 ■□1□■

愛のカタチ 1 (るな)

「…先輩?…にお…」
最近、仁王先輩は呼びかけても返事が返ってこない。
4月とは言え、もう初夏、かなりの暑さだ。
そんな中、仁王先輩は一人長袖ジャージを上下着用して部活動に参加している。
どうしてだか解らなかった。
しかし、その理由に気が付いたのはつい最近。
長袖ジャージに隠された肌には、
無数の痛々しいアザがいくつも、いくつも…。

「仁王先輩っ!」
「…え?あ、赤也か」
俺の呼びかける声にようやく気付き、
振り返った仁王先輩の顔は
期待に馳せた目だった。
…が、俺と気付くとその目は切なそうに揺らいだ。
そんなに…そのアザを付けた本人を待っているのだろうか。
そんなにボロボロのくせに?
アンタはあの人の事を愛してる。

仁王先輩にアザを付けた本人は
いつもは明るくワガママで、それでいて笑うとめちゃくちゃこっちまで心が温かくなる。
少し不器用なところがあるとは思っていた。
だけど、ここまで不器用だったなんて…。
きっとあの人は愛し方が解らないだけなんだと思う。
あの人が狂ってしまうわけないと思っていた。

「ねぇ、仁王先輩?幸せ…ですか?」
そっと先輩の背中のアザの一つに指を這わせて問いかけてみる。
「幸せじゃよ…毎日」
俺にバレたことに諦めたように苦笑を漏らしながら
今まで隠してきたアザを隠すこともせず
小さく微笑んでる先輩を見て、すごく辛くなった。
あぁ、この人も不器用なんだ…。

「…俺の所有物に何してんの?」
急に聞こえた声に俺も、仁王先輩も一瞬肩が跳ねるのが解った。
俺はほんの一瞬だったがこの、空気に恐怖を抱いた。
丸井先輩の一言、たった一言だったが
そのオーラと言うのだろうか。
息を呑むほどの冷たい空気に俺は恐怖した。
何とか我に変えると仁王先輩が嬉しそうに笑っている。
「んで?赤也は何してるの?」
「っ…」
「あぁ、もしかして、お前も俺のペットになりたいとか?」
「なっ…!?」
やっぱりこの人は狂って…しまった?
俺の大好きだった先輩は
優しかった。
どうしてそんなことを言うんだってんだよ。
間違っているのは俺…?
どうしよう…。
身体が「逃げろ」って言ってんのに金縛りにあった様に動けない。
一歩、また一歩と丸井先輩が近づいてくる…。

fin

■□■□■□■□
あとがき…

15歳未満の方はコレにて終了
第2部、若干「破廉恥」要素もあります。
15歳未満、苦手な方は1部のみとさせていただきます。

2009.04.21
るな

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