小説置き場 ■□1□■

きっと、君だったから 【さゆみ】








なんでもない人には心を開かない僕。
余計な同情という感情なんていらない
んだ。いつでもつきまとって、僕を苦
しめるだけの感情なんて、いらない。

僕が悲しいとき、その気持ちを勝手に
悟って気まずい顔なんてしないで。そ
んな顔したって、僕が悲しいという事
実は変わらないんだ。「大丈夫?」そ
の言葉が大嫌い。体にまとわる鮮血と
混じりあう僕のナミダ。(ナミダ、が
、溢れる)自分を支えるのは、励ます
のは、僕にしかできないんだから。余
計なこと、しないで、よ。でも、君は
…君、は、なにも言わなかった。けど
静かに、僕の肩を、抱いてくれて。だ
から僕は、最期の笑顔を君に、捧げた
。僕は、逝けたんだ。(あり、が、と)




きっと、君だったから



僕は、僕のままで形を残せた





もしも、君じゃなかったら



僕は、僕の形を忘れてしまっていた




紅く、紅く染まった、ゆっくりな旋律
しか弾けない僕だけれど


君じゃなかったら


きっと僕は、進めなかった。

















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