小説置き場 ■□1□■

歪みの国のアリス〜女王編〜 2 (るな)

…あれから、何日が経ったのだろうか。
それはほんの一瞬にも、
幾千もの時が流れた様にも、
感じられた…。
私は相変わらず、病院に閉じ込められている。

此処は 
−−監獄だ……

チェシャ猫もシロウサギも消えてしまった。
(薔薇色のドレス…)
きっと、もうすぐ姿や声も思い出せなく
なってしまうだろう。
(大きな鎌を握って…)
既にもう忘れているのかもしれない。
あなたはどんな顔をしていた…?
最期に何を言った…?
…アナタハ、誰ダッケ…?
「−−アリス」

今日も女王が私を呼んでいる。
嗚呼、行かなくちゃ。
逝かなくちゃ。
女王様のところへ
逝かなくちゃ…。

女王様だけはずっとずっと私の傍に居てくれた。
目には見えなかったけど、ずっと語りかけてくれた。
あの日も。

「アリス…わたくしたちの、いいえ。わたくしのアリス」
ほら、早く行かなくちゃ。
女王が呼んでいる。

私はフラッと病室から出ると無心で歩き出す。
やっぱり此処へ来た。
あの時と変わらない、
なんとなく階段を上がって、
なんとなく目の前のドアを開けたら、
そこに屋上があった。

あの時は夕暮れだっただろうか…
そこから見える風景はあの時と同じ紅。
だけどそれは夕日などではなく
紅い…赤い海がずっと先まで続いている。
その風景がとても愛しく思えた。
「いらっしゃい…アリス」
「女王…様?」

ふ、と脳内に響く女王の声。
一瞬、フェンスの向こうに女王が見えた気がした。
そこに居たんだね。

気が付けば私はフェンスを登り、
既にこの高いフェンスを乗り越えていた。
フェンスを乗り越えた先の足場はとても狭く
気を抜いたら落ちてしまうだろう。
真赤な海へ…。
視線を落とせば海が広がる。


−−少女は躊躇うことも無く、
屋上から…………………飛び降りた。

fin

■□■□■□■□
あとがき…
最後まで読んでくださってりがとうございます。
今回は、
ケータイアプリ「歪みの国のアリス」(http://www.sun-denshi.co.jp/gsec/)のもう1つの選択肢
という事で、書かせていただきましたv
歪アリで一番好きなのって女王なんですよね
で、女王ってトランプで語りかけてきたり、鏡を使ったり
赤と黒の迷宮のときなんて「遠くから、近くから」とか表記になってたり
交信能力がすげぇww
お母さん編もそうだったしね
だから女王ならきっとそうやって脳内に語りかけてくるだろうって。
そしてアリスを洗脳するだろう!
このアリスはきっと女王の毎日の囁きに感情を無くして…みたいな感じです。
アリスの最期はあえて客観的に表現をしたんですが、
空中…アリスから数メートル離れた上空に
立っている女王の元に行こうとして落ちた事になってます^^;
誰か僕に文章力を…(←

また色々書きたいなv
それでは、今回は『歪みの国のアリス』Other stories〜女王編〜を読んでいただきありがとう御座いました!

2009.03.24
るな


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